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 志太郡衙の風景 12
◆グンガソムリエの興津さんからの記事(第12弾)を紹介します。

ぐんが額装展6

福島久幸さんの金泥書実演

金泥書

 志太郡衙・映像学習室にて、金泥・銀泥・墨で書かれた『万葉集』、『源氏物語』や「能画」など20点ほどの額装作品が展示されていた。
 作者は清水区在住のの福島久幸さん。3月末に同室で福島さんが金泥書の書き方を披露され、参加された皆さんに、一人ひとりのお名前を金字で書いて贈られた。栞ほどの紫紙や紺紙であるが、この紙には福島さんのこだわりがある。
 金泥書とは、金粉と膠溶液を練ってつくった金泥で、紫紙や紺紙に文字を書いたものであるが、特に紙の造作には福島さんの大変な苦労が秘められている。紙を染め、打ち、みがくなどの作業、それも1200年前の写経生たちが行っていた方法に基づく、金字を書くに相応しい楮紙加工を探究しての試みなのである。
 そうして作られた紙は書き損じたからといって捨てられはしない。「書いた字の、上手下手を言われても困ります」という福島さんには誤字・脱字を除いて、そもそも書き損じはないのである。では、面倒な加工をしてまでも楮にこだわる理由はなにか。1200年前の国宝「金光明最勝王経」を国立博物館で眼にされた福島さんは、その美しさに驚くとともに、輝き続ける秘密に不思議を覚えた。秘密を解くには、同じ物で同じような仕方で経典を造ればよい。
 十数年にわたる研究作業の結果は写真と解説でダイジェストされて会場に掲示された。注目する点は、古代の写経生たちが行っていた写経作業における技術と叡智を、これに倣った福島さんが顕微鏡写真や化学測定によって検証している諸図表である。
 信仰の源である経典の美しさや経文の意味については、芸術的な、学問的な追及が果てしなく行われる。福島さんはこれに加えて、ものづくりにみられる先人の智慧と努力を現代に明かしたのである。
 
                        
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